薪ストーブの火熾し

この冬より本格的に焚き始めた
薪ストーブ
ようやく安定してきた
火熾し方法を紹介します。


先ずは、薪の準備

左前
焚き付け用 1~2cm角に細く割った薪

右前

焚き付け用 3~5cm角に割った薪

ストーブ横・下

本焚き用 10~20cm角に割った薪

 薪をストーブのそばに置いているのは、
 薪をより乾燥させ
 煙を少なくし、綺麗に燃えるようにするため。

そして
火付け用に用意した

マッチ、新聞紙、牛乳パック

前後に太めの薪を置き
その間に、
牛乳パック(1/4にカットしたもの2枚)
両脇に新聞紙1/2枚ずつ

牛乳パックは、Z字に折る。
牛乳パックは、火持ちが良いが、
折る事で更に火持ちが良くなる。

新聞紙は
煙突のドラフト(上昇流れ)を
最初に生じさせるため。
特に、火熾し用では無い。
ふわっと軽く丸めると、早く燃え
ドラフトが生じやすい。

前後の太めの薪は
熾火を安定させるもの。
一番下に置けば、煙も少ない。
中央の細い薪の炎で熱されてから
着火するので、
着火温度に達する前に出る
可燃ガス(煙)も少ない。

左前の
焚き付け用 1~2cm角に細く割った薪を
前後に空気が通る隙間を開けて
配置する。

更に、同じ焚き付け用 1~2cm角の薪を
左右に空気が通る隙間を開けて
配置する。

その上に
右前の焚き付け用 3~5cm角に割った薪を
前後に空気が通る隙間を開けて
配置する。

ここで
牛乳パックの左右の端にマッチで点火する。
同時に、新聞紙にも点火する。

新聞紙が燃える事により
ドラフトがあっという間に生じる。
同時に、焚き付け用の薪も
酸素が良く供給され、どんどん燃え広がる。


前扉を1cm程開けておく。

一番上の薪
焚き付け用 3~5cm角 の薪 にも
どんどん燃え広がる。

ここで
前扉を閉めてしまうと

炎が煙と化してしまう。

この状態では

まだまだ酸素が大量に必要だからだ。

扉を閉めたままにしておくと
あっという間に煙で充満。
火も消えてしまう。

再び
前扉を1cm程開けると、
良く燃え進む。

ここまでは
まだまだ熾きが充分に出来ていないので
多くの酸素を必要としている。

ようやく
一番下の前後の太めの薪が熾きになり
全体の熾きも安定してきた。

ここまで来たら
太めの薪を投入。1~2本程度。

但し、この状態でも
ストーブトップ温度は、100℃ 以下。


鋳物ストーブは
そう簡単には温度が上がらないもの!

反面、下がるのもゆっくり!
保温性抜群!

ストーブ本体が 200kg 程ありますから。

太めの薪に
熾きが出来始めるまで
焦らず、のんびり、待ちましょう。


薪を追加するのは、その後で。

ようやく
太めの薪が熾きになり始めました。

これで、ようやく
ストーブトップ温度は、150℃ 超え。

同じようにして
熾きの出来具合を見ながら
太めの薪を順次投入。

ようやく
ストーブトップ温度が
200℃ に達しました。

ここまで、30分はかかります。

 薪材は、杉・唐松を使用。

ストーブトップが 200℃ を超えたら
前扉を閉めて
本焚き用の太い薪を
同様に、熾きの出来具合を見ながら
順次投入。

ストーブトップ温度が

200~250℃ を維持するように
美しく焚いていきましょう!

熾きが充分に出来ている状態であれば
一次空気をゆっくり絞っていくと

炎のオーロラ が 現れます



薪ストーブの煙突の様子

薪ストーブシーズンも終わり、煙突内の様子を調べた

煙突内に付着しているススは、サラサラのススをちょっとしっとりさせた感じ。
ストーブのメンテナンス屋さんに確認したところ、あまり心配無く、
このまま来シーズンも使用OKとのこと。

お勧めの、チムニークリーナの使用で、煙突掃除でも剥がれなかったものが、
ストーブを燃やすことによって剥がれ落ちてきた。
落ちてきたススは、少しバリバリした感じ。
これは、掃除機で取り除く。

4月のストーブメンテナンスの前の煙突内の様子

煙突内に、大量の固まったスス(固形タール)が付着。

煙突内から落ちてきた固まったスス(固形タール)。



固形タール:クレオソートが固まった、木のタールとも言える。
薪の水分が多かったり、ストーブの燃焼温度が低いと、煙が多く出てクレオソートが発生する。

煙突のメンテナンス後は、
充分に乾燥させた薪を使用。
ストーブトップの温度を200~250℃目安で燃やした。
更に、焚き付け用の小さな薪を多く使用し、早く200℃以上になるような燃やし方をした。

薪ストーブ講演会

日時:2019年4月13日(土) 14時~16時
場所:緑ヶ丘クラインガルテン 多目的ホール
講師:安村直樹先生 (東京大学 田無演習林長)

ガルテン利用者、地域の方々の大勢の参加をもって
盛況のうちに終わった。

皆さんの関心の高さが伺えた。

講演項目抜粋

  • 日本の薪ストーブの歴史と地域性
  • 薪ストーブの種類
  • 薪ストーブの健康(長寿)への効果(室内温度差が少なく、健康・長寿に効果あり)
  • 世界や北欧と日本の森林保有率・木材利用率(日本は保有率は高いが、使用率はごくわずか)
  • 森林資源と薪ストーブ
  • 樹木の種類による、密度の違い(かさ当たりのエネルギー量が違う)
  • 木材を燃やすことはカーボンニュートラル(CO2を増やさない。温暖化させない)
  • 薪のエネルギー量(熱量)
  • 世界を日本の木材の価格差はけた違い(日本は手間暇かけ過ぎで高価格になってしまっている)

他にも多岐に渡った情報を講演された

紹介された、参考文献

森林・林業・林産業の最新状況を知れる
詳しい目次だけでもかなりの情報量

森林・林業白書 林野庁編 HP



歴史が詳しい。1986年出版。これを超える書物はまだ見つからない。

「ストーブ博物館」新穂栄蔵著、北海道大学出版会

事前案内のビラ

東京大学大学院農学生命科学研究科付属演習林田無演習林 HP

四賀地区(緑ヶ丘、坊主山)クラインガルテン 松本市 HP

薪ストーブうんちく。その8

薪ストーブのメンテナンス

15年近く使用した 薪ストーブ を譲り受け、昨年末から使用開始。

移設時には、煙管内に大量の固形タールが付着しており、移設業者がほぼ除去。

しかし、燃えが悪く、一向に温度が上がらず。


移設業者では、らちがあがらず、メンテナンスのプロを探し出し
他県ではあったものの、メンテナンスをお願いした。

ストーブ内の耐火レンガ等を分解・取り外し
耐火レンガを取り外した、ストーブ内の様子

ストーブ内の、分解・清掃
煙突・煙管内の清掃
を行って頂き

薪ストーブは、完全復活

原因は
煙突・煙管内の固形タールの付着による
ドラフト(煙の上昇気流の力)不足

煙突・煙管内の
キチンとしたメンテナンスの重要性を実感した出来事であった

今回お世話になった、薪ストーブのメンテナンスのプロ集団

ファイヤーワークス那須

薪ストーブうんちく。その6

国有資源の木材の活用を今一度考える時期に来ている

薪(木材)のエネルギー密度(重量あたりの持っているエネルギー)は 石油系に比べ、約半分。

思いの他木材の持っているエネルギーは多い

木材:4500kcal/kg 完全乾燥
灯油:10600kcal/kg

日本のエネルギーセキュリティー(エネルギーの90数パーセントを輸入に頼っている)を考えれば、余り余っている木材の利用を見直すことも必要であろう。

景観や森林保全の観点からも。少なくとも緊急時に対しては。

欧米の薪ストーブの様に、燃焼・暖房技術はとてつもなく進化ししていることからも。

但し、石油系と違って自国での「労力」がかかってしまう。
伐採・山からの移動・運搬、保管等々。

しかし、石油依存の日本では、石油輸入価格で日本経済が左右される。

原発事故以後の石油・LNG輸入増で、日本の経済収支(輸出入含めた)が黒字から赤字転落したことがあったのは記憶に新しい。

日本の経済は、エネルギーを輸入する為に働いている。
といっても過言ではない。

その輸入エネルギーは、ある意味他国の言いなり
(価格設定、量、共に)

国有資源の木材の活用を今一度考える時期に来ている

薪ストーブうんちく。その5

木材を燃やすことは、カーボンニュートラル

CO2を増やさない。地球温暖化を増やさない

成長時にCO2を吸収し、燃やす時にそのCO2を放出している。
つまりCO2は同量で増えない。

倒木や伐採木は、そのまま放っておくと、朽ちる時にCO2を放出する。
 ※)成長時に吸収したCO2を、朽ちる段階で自然に戻している。

燃やしても、朽ちても放出するCO2は同じである。

燃やしてエネルギーとして利用することが、

地球温暖化防止に貢献できる

薪ストーブうんちく。その4

北欧やUSAの「薪ストーブ」は、現在も現役で進化がすごい

 二次燃焼は当たり前、触媒付きもあり。
(1990年頃から採用されてきた)

排気ガス規制もあり、その認定をクリアしないと売れないらしい。
日本は野放し?で、まだまだ後進国。
(あらゆる意味で:私個人の見解)

数年前、東京大学には演習林・農場があり、そこで「薪ストーブ講習会」を 林長(東大の先生)自らやる、というので参加しました。

そこでは色々と世界の薪ストーブ事情や歴史、林業・山林・木材についての座学もあり、 目からウロコ状態。
まだまだ世間を知らないな、と。

日本は有数の山林保有国にも関わらず、それをうまく利用・消費していない。
※)山林保有率は、日本国土の約70%

日本の自国山林の暖房・燃料に使う使用率は、たかだか 数% 以下

対して、北欧は50%以上
(山林割合も多く、薪ストーブ普及率が高い、ということもあるかも知れませんが)

更には、伐採後の植林もして、うまく循環させている。
(20~30年サイクル)

同時に森林の景観や維持・保全にも役立っている。

 ※)広葉樹の大半は、20年~30年以内に伐採すれば、切り株から新たな芽が誕生し、次の世代交代へとなる。

人間による伐採は森林を健全に持続的に循環させている

薪ストーブ うんちく。その3

暖房能力も、ちょっと比較すると

●石油ストーブ(反射板式)(約6畳タイプ)
    : 2.3kW(2000kcal/hr)

●石油ファンヒーター(約6~8畳タイプ)
   : 3.0kW ・・・ 燃料消費0.3L/hr

●薪ストーブ (Huntingdon 40)
   : 9.0kW (最大11kW)

よって、薪ストーブは、石油ファンヒーターの約3倍以上の暖房能力

STOVAX HP

Stovax Huntingdon series

薪ストーブ うんちく。その2

薪ストーブの暖房の燃料費(薪代)は、高いと言われているが・・・。

以下、私なりに雑に調べた暖房の燃料費に関するもの。

薪:4500kcal/kg 完全乾燥、3600kcal/kg 20%水分(比重0.55 として算出)
ガソリン:11120kcal/kg(比重0.78 として算出)
都市ガス:9818kcal/m3
電気:860kcal/1kWh

また、コストは

薪:ただ? 労力を惜しまなければ
  ~ 2000円/20kg(約3束:一日の消費量。ひと束600~700円として)

薪:2000円/20kg    → 36kcal/円(一番高いコストで薪を買えば)
灯油:1800円/18L   → 84kcal/円
都市ガス:150円/m3   → 65kcal/円
電気:25円/kWh   → 34kcal/円

発熱量単価は、薪の勝ち! になる場合も。

労力しだい、薪ストーブしだい。で燃料費が超お得に!

因みに、灯油が一番コスパ優れてそうですが、

ヒートポンプ(空気を圧縮して熱に変換)技術が発明されてからは、
エアコンのエネルギ変換効率(COP)が、良いものは 5.5倍になり、
 34kcal/円 * 5.5 = 187kcal/円
になり、灯油ストーブ よりも エアコン のコスパの勝ち。になる。

但し、薪ストーブは、輻射熱(遠赤外線効果)が主で、

太陽のような優しい暖かさで、私は一番好きですね!

室内全体が暖まるし、そこではどこに居ても優しい暖かさに囲まれ。